突然慌ただしく男が戻って来た。


「くそ!エスターンの犬どもめ!」



男は梨乃のもとに駆け寄ると、乱暴に梨乃を抱え上げた。




「ちょっ、放してっ!」

「チッ、うるせぇな」



梨乃が声を上げ暴れると、男は舌打ちをし一度梨乃を下に降ろす。
男は布を取り出すと梨乃の口に巻きつけ口を塞いだ。



「んん―!」

「黙らねぇとまたぶつぞ」




すごまれ、身体を震わせた梨乃は静かになる。
それを見届けた男は再び梨乃を担ぎ上げる。



「こんなところで終わらせてたまるか」




男は梨乃を抱え上げたまま外に飛び出した。