どれ程の時間が経っているのだろうか。
言うことを聞かない身体、痛む頬。



男は何度も部屋を出入りし、気を抜ける時がなかった。
男がいない隙に身体を縛る縄を外そうと後ろ手にされた腕をこすり合わせてみるが緩むこともない。



絶望に心がおれそうだ。
泣いて、しまいそう。



それでも。
泣いて喚くのは、最後だと。



泣くのは、皆の元に戻ってからだ。



しっかりするのよ、梨乃。
私は、プリンセスなんだから。




何度も何度も心の中で唱えながら、自分を奮い立たせる。




「・・・みんなを」




信じる。
私を護ってくれると言ったみんなのその言葉を。