梨乃が目を覚ますと、そこは薄暗く埃っぽい場所だった。
梨乃が転がされているのは板張りの床の上。
「・・・っ」
頬の痛みに顔を顰め身体を捩ると、自分の身体が縛られていることに気づく。
コツコツと足音が聞こえ、身動きを止めた。
「目が覚めたか、プリンセスさまよ」
男の低い声が響く。
その声は梨乃の部屋で聞いた声と同じものだった。
「ど、どういうつもりなの!?こんなこと・・・なにが目的で!」
「お前を人質にとれば、できることなんて山ほどあるんだよ。お前みたいな小娘一匹に、おもしれぇくらいに価値があんだぜ。面白れぇよな」
足で肩を押され横に倒れていた体が上向きに倒される。
キッと睨みつけるが、男はにやにやと笑うばかり。
「これからお前は商品だ。お前を巡って、この世界が変わるかもしれねぇな。さて、お前のためにお前のお父様はどこまでしてくれるかな」
「え・・・」