ゆっくりと扉を開くと、その先は広い書斎のような部屋だった。
そこにある大きな机に向かって座っていた人物が、梨乃の姿を見て音を立てて立ち上がった。



「ああっ、リノ!リノ!会いたかったぞ」




白髪のその歳を重ねた男は嬉しそうに声を上げると戸惑っている梨乃のもとまで駆け寄りガタイのいい胸に抱きしめた。




「えっ」

「こんなに大きくなって・・・。ああっ、また会えるとは・・・こんな幸せなことはない」

「あ、あの・・・」



苦しいくらいに抱きしめられ梨乃は困惑する。
男は涙を流しながら梨乃の身体を確かめるように触れる。




「国王。プリセスが困っておいでです」




クロウが咳払いをする。
国王、そう呼ばれた男は慌てたように体を離した。




「すまない。ちゃんと話をしよう」



愛しいものを見るような瞳に、梨乃は戸惑いを隠せなかった。