二日目は、ドーベル王国の城下に赴くこととなった一行。
ルベルト王は今日も一日公務があると言われ、エスターン陣だけでの視察となった。
「エスターンのプリンセスが滞在中に公務をこれだけ詰め込むってなめられてんじゃねぇの」
「言葉を慎みなさい、シド」
「だってよぉ」
こういう二人のやり取り、何度目だろうかと梨乃は微笑ましく思う。
2人が兄弟だと知ると、余計に思わず頬を緩めてしまう。
「とにかく、せっかくだからみんなで楽しもうよ」
「プリンセス、これは遊びではなく・・・」
「わかってる。でも、楽しんじゃダメってことはないでしょう?せっかく、他国の城下を見て回れるんだもの。いろいろ見て回らなくちゃ」
エスターンの城下も数えるほどしかいったことはないが、とても目を惹かれるものばかりだった。
梨乃は、心を弾ませながらきょろきょろと辺りを見渡す。
「エスターンのプリンセスとして来ているんですから。自覚をもってですね」
「あ、ほら、クロウ!見て、あれ」
「って、聞いてますか、プリンセス!」
クロウの言葉も聞こえず目に映った真新しいものに興味をひかれ飛び出して行く梨乃。