「このドーベル王国を存分に堪能して帰ってもらいたい」
「はい。とても楽しみにしてまいりました」
「私は公務もあるため席を外すことも多いが、ゆっくり過ごされるといい」
「はい。ありがとうございます」
王との接見を終え与えられた部屋でこれからの予定を話し合うことになった。。
「なんか、偉そうな王だな」
「これ、シド。失礼ですよ。それに、王なんです。当然でしょう」
ボソッと呟いたシドを咎めるようにクロウが言う。
不機嫌そうに顔を歪め、シドは「でもよぉ」と呟く。
「まぁ、言いたいことはわかります。ここも、エスターン国の中の一国にすぎませんからね。立場的には、エスターン王族の方が上でしょう」
「だろ?」
「まぁ、突然戻って来たなりたての王女に、へこへこ頭を下げたくないのでしょう」
クロウが小声でそう告げる。
下にみられているという事。
それは、まだ自分がプリンセスとしてしっかりしてないからなのだ、と梨乃は痛感する。