訓練を続けてきたシドは、ようやく訓練生から騎士へと昇格し今回の公務が初任務となっていた。
梨乃の専属騎士としての一歩を踏み出した。



「プリンセス。一つだけよろしいですか?」

「え?」




神妙な声が聞こえ、梨乃は顔をあげた。




「ありがとうございます」

「え?なにが・・・?」



的を得ないお礼に、梨乃は首をかしげた。
お礼を言われるようなことをした覚えはない。



「シドの事です。あれが立ち直れたのは、プリンセスのおかげですから」

「え・・・」



なぜ、クロウがそんな風にシドの事で頭を下げるのか。
立ち直れたという言葉の意味も、梨乃にはわからなかった。