「でも、今シドが私がまっすぐだって見えるなら。それはシドたちがいたから。私の専属騎士になるために頑張ってくれてるシドがいるからだよ」
「・・・俺は」
「私のわがままをきいてくれてありがとう」
ギュッとしがみ付くように力を込めた。
温かい。
シドはその温もりにギュッと目を閉じた。
「シドは、丸くなったよね」
「・・・は」
落ち着いて、身体を離すと梨乃が笑ってそう言った。
眉を寄せ気まずそうに答えたシドに、梨乃は一層笑みを深くする。
「最初は、誰も寄せ付けない狼みたいだったのに」
「・・・別に、今も誰でも寄せ付けてるわけじゃねぇよ」
ガシガシと頭をかきながら答える。
梨乃といると調子が狂うとは、言えなかった。
「もう、誰ともつるまないって、誰にも従わないって決めてたからな」
「え?」
「・・・いや、こっちの話。・・・でも、その考えを変えたのは、お前だよ」
シドはそう言うと梨乃の頭に手を乗せ乱暴にわしゃわしゃと撫でつけた。