「な、なんでそんなもん読んでんだ」

「うん・・・。もっと勉強しなきゃと思って」


梨乃はギュッと本を握りしめそうはっきりと言った。
その言葉は力強く、シドは言葉をのみ込んだ。



「私はまだこの世界の事ほとんど知らないし、わかってない。どちらかといえば平和な戦なんてない世界で育ったから、そういう事やっぱり理解できないし、怖いとも思う」

「・・・」

「戦は怖い。命を失うことは恐ろしい。悲しい。辛い。戦なんて、なくなればいい」




羅列した負の想い。
それは、きっと消えることはない。

なんの意味があるのか。
その答えは、見えない。
理解も、できない。



「そう考えた時にね、私にできる事ってこれくらいかなって」

「できる事・・・?」

「私が立派なプリンセスになって、この世界を変える」




見据えた先に、明るい未来があると信じて。
違う、そうじゃない。

作るんだ、未来を。
世界を。