「ありがとう、カノンくん」
「いえ。えっと、ため口すみません。つい熱くなってしまって」
「いいの。仲良くなれたみたいで嬉しい」
照れたように笑ったカノン。
梨乃は少しまだ潤んだ瞳を笑顔に変える。
「じゃあ、僕も皆が帰ってきたくなるくらい綺麗な庭を作る!」
「ふふっ、素敵ね。私も、もっとこの世界の事を知って、自分にできることを探さなくちゃ」
意気込みを見せ、小さくガッツポーズをする。
受け入れられないことはある。
どうして血が流れなくてはいけないのか。
争いに何の意味があるのか。
それをとめる力は何も持っていないのに。
「いつか・・・。戦のない世界を作りたい」
「だったら、プリンセスでいなくちゃね」
「・・・プリンセスでいたら、できるかな?」
「簡単じゃないけど、僕よりは可能性あるんじゃないかな」
そんな理由でいいのだろうか。
ただ、誰も傷ついてほしくない。
そんな理由で選ぶ道でも、許してもらえるのだろうか。