護りたいものがある。
成し遂げたいことがある。
それぞれの想いが入り組んで。
殺伐とした世界。
「でも、僕も・・・。もしたとえば今襲われたとしたら、身を挺しても梨乃さまを護るよ」
「カノンくん・・・」
「だって、僕梨乃さまの事大好きだから」
花のようににっこりと照らされるような笑顔に、梨乃の涙はようやく止まる。
「簡単に、戦はなくならないけど。でも、護ものがあるってきっと強みだと思う」
「強み?」
「護りたいものがあれば、なんとしても生き延びたいって思うでしょ?」
「そっか・・・」
生き延びたいと思える場所。
梨乃は小さく頷くとまっすぐカノンを見た。
「絶対に、死にたくなくなるような、帰ってきたい場所を作る。生き延びたいと思える場所に私がなる!」
「その意気だよ、梨乃さま!」
それくらいしか、できることはないのかもしれない。
どうすればいいのかなんて、すぐにわからない。
それでも。
皆に、生きてほしいから。