梨乃は、瞳を揺らし言葉にならない声を出す。



「プリンセス?」



心配そうにかけられた声に、梨乃は唇を噛んで。
勢いよく立ち上がると部屋を飛び出した。



「プリンセス!?」




投げられた声に止まることなく飛び出した梨乃。
残されたクロウは、戸惑ったように立ちすくんだ。





「・・・今、話すべきことではなかったか・・・」




戦の現状を見てしまって戸惑っている梨乃に、残酷な話をしてしまったと今更後悔しても遅かった。
ヘルスターの事を知りたいと言った梨乃に、隠しておくことができなかった。


それでも大丈夫だと。
護るからと。
安心させたかったのに。



どうしてあんな表情をしたのか。
ひどく傷ついたような顔を。



なにか、間違ってしまっただろうか。



強く拳を握りしめ、梨乃を追いかけるため部屋を出た。