「・・・ここ」


梨乃が目を覚ましたのはシドたちがそうして話をしている最中の事。
視線を移し、そこが自分の部屋だと気付くとゆっくりと起き上った。



「目を覚まされましたか、梨乃さま」

「あ・・・ミオ・・・。私・・・」

「梨乃さま、お倒れになったんですよ。覚えていませんか?」



側にいたミオにそう言われ、梨乃は思い返しあの惨状を思い出した。
震えそうになった身体にギュッと手を握る。



「私に、何かできること・・・」

「梨乃さまは、もう少しお休みになっていてください。お疲れでしょうから」



セレナもそう言って制する。
梨乃はそれでも首を横に振って起き上る。



「みんなが、苦しんでいるのに・・・。私にできることがしたいの。手当の手伝いなら、私にもできるでしょう?包帯を巻いたりくらいなら・・・」

「梨乃さま」




何かしたかった。
震えそうになるくらいのあの現実から逃げることは容易いけれど。

隠れて護られているだけだった自分が少しでもできることがあるのなら。