「それって・・・、あいつがずっと家族だと思ってた人から、引き放したってことだろうが!」
「そんな事、言われなくてもわかっていますよ」
「あいつは・・・、全く知らない世界に来て、プリンセスとしての道を歩いてるっていうのかよ」
「ですが、プリンセスは間違いなく国王様の血を受け継いでいます。この世界こそが、プリンセスのいるべき場所です」
そう、信じていなければ。
間違っていない。
そう思っていなければ。
クロウとて、言われたままにプリンセスを迎え入れただけ。
既に事は起こっていて、すべてが決まっていたことだった。
「それでも!あいつにとっては、異世界の家族が本当の家族だったんだろ!」
「それは・・・」
「家族と離される辛さは、誰よりもお前はわかってるはずだろ!!」
シドはクロウの胸ぐらを掴み叫んだ。
クロウは苦しげに顔を歪めた。
「あいつは・・・、あいつは、・・・なんで、それなのに笑ってんだよ・・・」
グッと服を握りしめ、苦しげに俯いた。