「おい、お前顔色が・・・」

「プリンセス?」


心配そうな二人だったが、二人の言葉も梨乃には聞こえていない。
顔色は悪くなる一方で、ついにフッと体の力が抜け足から崩れ落ちた。



「おい!」



梨乃を支えたのはシド。
ぐったりした梨乃を見て、心配そうに表情を曇らせる。



「プリンセスを自室にお連れしろ」

「わかってる」



シドは、梨乃を抱えあげ、急いで梨乃の部屋に向かう。
さっきの梨乃の様子を思い返しながら。


真っ蒼な顔、怪我人を見ただけであんなになるものなのか。
戦が頻繁に起こるこの世界では、そんなの見慣れているはずだ。

それなのに。
梨乃の様子は、異様だった。



「どうしたんだよ・・・」



シドは、小さく呟くと悔しげに表情を歪めた。