それは、とても長い時間に思えた。
薄暗い部屋の中。
外の音は何も聞こえずとても静か。
安心させるように梨乃の側に座るシド。
そして、梨乃を見守る国王。
「大丈夫・・・かな・・・」
消え入るような震えた声で梨乃が呟く。
「心配はいらない。我が国の騎士たちは、優秀だ」
「国王様・・・」
「怖い思いをさせてすまない」
本当は、争いのない世界にして呼び戻したかった。
その願いは届かず、こうして怖い思いをさせてしまっている。
そのことが、国王は胸を痛める。
梨乃は、唇を噛んでフルフルと首を横に振るう。
「皆を信じて待とう」
「・・・はい」
待つしかできない。
なんてもどかしいのだろう。
梨乃は祈るような気持ちで胸の前で手を組んだ。