「よく頑張られましたね」
舞踏会を無事に終え、クロウがそう言って梨乃を褒めた。
梨乃は嬉しそうに照れ笑いを浮かべる。
「しかし、これからもっと上達してもらわなければ。レノンさまとのダンスの時躓かれたでしょう。それからその後も・・・」
「う・・・」
しっかり見られていたことに青ざめ、やっぱり手放しに褒めてはもらえないかとがっくりする。
「今回は食事はありませんでしたが、これから公務で食事をとられることも増えてきます。食事のマナーもしっかり身に着けていってもらいます」
「・・・はい」
手厳しいクロウに、シュンと肩を落とす梨乃。
クロウはそんな梨乃を見て、苦笑し肩を竦めた。
「いかがでしたか?」
「え?」
「初めての舞踏会は。ただ疲れただけでしたか?」
「あ・・・、ううん。緊張してすごく疲れはしたけど、楽しかった。ダンスも、失敗はしたけど皆優しくエスコートしてくれたし、踊りやすかった」
舞踏会を思い出しぱあっと明るくなった表情に、クロウはホッと笑みを浮かべた。
素直な子だと思う。
それが、この子の持ち味だと。