「おそらく、仕掛けてくるのではと」
「そうか。懸念してはいたが・・・、思っていたよりも早いな」
険しい表情で話すのは、国王と国王の側近であるナトリ=ホワード。
舞踏会の時の侵入者の報告をしていた。
侵入者は予想通りヘルスター王国が仕向けた刺客だった。
ヘルスター王国は容赦なく戦を仕掛けてくるだろうと予測された。
「ヘルスター王国の王であるターナーは、もともとは王族ではなかった。それがのっとる形で王に即位し王国を作り上げようとしている」
「はい」
「それに引き換え我がエスターン王国は、500年にわたりエドワード家が代々受け継いできている。その結束は固い。どちらにせよ良し悪しはあるが、ターナーにとってはそのことが負い目になっているんだろう」
「そのようですね」
「エドワードの血を絶やそうと躍起になっているからな。どんな手を使ってくるかわからぬ。梨乃の事、くれぐれも頼んだぞ」
「はっ!もちろんでございます」
深く頭を下げナトリは下がる。
国王は厳しい表情のまま肩ひじをついた。
何事もなければよいが・・・。
眉間に深いしわを寄せた。