「はぁ・・・。疲れた」
こっそりとダンスホールを抜け出した梨乃は、テラスに出ていた。
ふぅと息を吐いた。
何人もの人とダンスを踊り、もうくたくたに疲れていた。
「こんなところでなにサボってんだよ」
後ろから聞こえた声にビクッと肩を震わせた。
恐る恐る振り返ると、そこには呆れ顔のシド。
「なんだシドか・・・」
「なんだとはなんだ」
「だって、クロウとかだったら怒られると思って」
そう言って笑った梨乃の隣にシドは並んで立つ。
外は星空が広がり、満月の月が二人を見下ろしていた。
「なんだか、不思議。自分がプリンセスになって舞踏会に出てるなんて」
「どういう事だ」
「私ね、ずっと自分がプリンセスだって知らずに生きて来たから」