賑やかなフロア。
少し離れた場所で他国の王子とダンスを踊っている梨乃を見ているシド。
楽しそうな照れくさそうな笑顔を浮かべる梨乃を、複雑な気持ちで見ていた。
「・・・ロイさま!」
外を警備していた騎士がこっそりとロイに駆け寄る。
そのただならぬ雰囲気にロイが表情を硬くさせる。
「どうしました」
「侵入者が。今、外にいる警備隊で応戦しているのですが。敵もなかなかの手練れで苦戦しています」
「・・・。すぐに向かいます。あなたはここにいてください。怪我をしているんでしょう」
「ですが・・・」
「捻挫ですか?傍から見れば怪我をしているのはわかりませんから、騒ぎになることはないでしょう。いいですね」
「・・・はい」
歩いてきた様子で怪我を察知したロイに、シドは目を見張る。
偉そうなだけある、と納得したのだった。
「シド。あなたもついてきなさい」
「おお」
ロイについてこっそりとフロアを抜け出した。