《「…ねぇ…誰か…誰か……話を聞いてよ、一緒に遊んで……お願いだから……」

誰も振り向く者はいない。

声は聞こえているはずなのに。

無視、陰口、仲間外れ、、、

私に対して急に始まったイジメ…



これは決して忘れることが出来ない過去…》



長いストレートの黒髪に、長いまつ毛、赤い唇、大きな瞳。

すれ違えば誰でも1度は振り向くであろうほどの美少女である。

その少女からは不安や緊張がヒシヒシと伝わってくる。

少女の周りには同じくらいの年齢の男女が、同じように緊張した様子で先生の話を聞いている。


今日は「私立神代中学高等学校」の中等部の入学式があった。今は入学式が終わり、各自の教室で初めてのホームルームをしている。

公立の中学ではなく私立のためここにいる全員、初対面である。

それなのにも関わらず、ある男の子が先ほどの少女に話かけた。

「やぁ、僕の名前は早川春輝。ヨロシクね。君の名前は?」

ためらいなく聞いてくる春輝という男子に戸惑いながら少女は応えた。

「えっと、、、細川つぼみです。こ、こちらこそ、よろしくお願いします。」

頬が少し赤くなっている。やはり、戸惑いを隠せない。

だか、春輝はズカズカとつぼみに話掛けていく。

「先生の話ながいね。どこの小学校出身?誕生日は?つぼみってどーやってかくの?」

質問攻めだ。

そしてつぼみは思った。
『うわぁぁ、この人苦手だ…』と。