「お客様。こちらは私の大切な方なので取らないで頂けますか?」

公私混同だけどね…?
嬉しいんだよね。

「はい、マタドール」

「ありがとう」


チッと舌打ちをするとまた新しいお客さんに向かっていった。


「だめだよ?あんな無防備にしてちゃ」


プクッと顔をふくらませて私に怒る彼方くん。
可愛いんだけど…。


「咲愛ちゃん?なんで笑ってるの?」


可愛い顔はムッとした顔にすり替わった。

「なんだか、かなたくんが可愛くて」

「はぁ…、 可愛いのは咲愛ちゃんだから 。」

頭を抱えながら、何かをつぶやいた。

「え?なんか言った?」

「なーんも。ほら、次は何飲むの?」

「えぇと、ホワイトルシアン…にする」

「かしこまりました」


新しく作ってくれている間、グラスに残った氷で遊んでいた。


「はい、ホワイトルシアン」

「やった!彼方くんが作るホワイトルシアン大好きー」

「そう?ほかの人が作るのとあんま変わらない気がするけど…」


そう言いつつも耳は赤くなっていて、照れてることは丸わかりだ。