1人で慌てすぎて暑い。

「…さ、なちゃ」


後ろから声が聞こえて振り向くと、おぼつかない足取りでこちらへ歩いてくる彼方くんがいた。


「…起きた?」


自分を落ち着かせるように息を吐いて微笑みながら問いかける。

あ、歩み寄りながら?だよ?


「1人、さみしい」


子供みたいに少しうつむきがちに上目遣いでそう呟いた。

やっばい。鼻血。
天使だね。


「起きたら、咲愛、いなかった」


何この生き物。てか、さりげなく咲愛って呼び捨てだし。