「咲愛こっちに住むんだって?」
「うん。そのつもり」
「そう。じゃあ楽しくなりそうだね」

そう微笑む父は今おじいちゃんとおばあちゃんのこのカフェで働いている。

しかし、そろそろ3人では手が回らなくなってきたらしい。

「まぁ、とりあえず食べなさい」

温かな笑顔のおじいちゃんが湯気のたつ卵とろーりのオムライスを作ってくれた。

「いただきます!……美味しい!!」

「さっちゃんどうしたの?!」
「咲愛?」
「さなどうかした?!」

温かな笑顔の家族に知らないうちに涙がこぼれていた。


「…あのっね、じつは、ね、お腹に、赤ちゃんっが、出来たの」

「え?」

「でもっ、この子のパパはっ、家庭を持っててっ、一夜の過ちだったっ…っなんで、辛さ分かるのにこんなことしちゃったんだろう…」


泣きながらすべてを吐き出すと、お父さんとおばあちゃんが抱きしめてくれた。おじいちゃんは私の頭をなでた。

「でも、ここに来たってことは、その人とのお別れも覚悟して、その子を産む覚悟もして来たんだろう?だったら、ちゃんとその子に愛情を注いであげなさい。後悔したって遅いんだ。今を精一杯生きなさい。お前にはじいちゃんばあちゃんもお父さんもついてるから」

お父さんは泣きそうな顔で微笑んだ。