坂崎くんと別れ、店を出た私は少し冷えた風に身を震わせた。

少し寒いこの気温が、気持ちを落ち着かせるのにちょうどいい。

だけど、これからはあんまり体冷やさない方がいいんだよね…。


徒歩でゆっくりと家に帰った。


さっき坂崎くんに言った、引っ越すという話。
どちらにせよ会社は辞めなきゃいけない。

でも、家には帰りたくない。

ここから遠い場所にいきたい。


プルルルルルプルルルルル


「はい、もしもし、倉橋です」

『もしもし?さっちゃん??』

「あれ?おばあちゃん??」

『そうよー。元気??』

「うん。元気だよー。どうしたの??」