好きになってもらえるということがとても素晴らしいってことを改めて思った。

でも、その本気が怖い。
私は返してあげられない"好き"を彼は私にくれる。
それが怖くて仕方ない。


「ごめん…ひどい事言った。でも、ウソじゃないから」

「ごめんね。怖がらせたいわけじゃなかったんだ。それに、ほかの家の事情に口出すようなことしちゃダメだよねー」


かれは少し笑うとそういった。


「ごめんなさい…。それと、私もうすぐ引っ越すの。だから、もう会うことはないと思うわ」

「そっか…」

「そろそろいえに帰らなきゃ。さよなら」

「うん、ばいばい。元気でね」

「坂崎くんこそ、元気でね」


微笑むとお金を置き、私は彼に背を向け店を出た。