やっぱり違うんだよ。

さなちゃんって呼ぶのは彼だけでいい。
もう、会わないけど。


「やっぱ、倉橋が呼びなれてんな」

「うん。呼ばれ慣れてるよ」


くすっと笑いながら言うと彼は、少し恥ずかしそうに笑った。


「倉橋、結婚した?」

「まだそんな歳じゃないでしょうに」

「それが割としてるんだって」

「そーなの?!」

「うん。好きな人とかは?」

「うーん。いたけど、もう会えないんだ」

「え。亡くなった…とか?」

「ううん?ご健在ですよ」

「じゃあ、なんで」