「あ、ちょっと、咲愛ちゃん!」

「ごめんね。見苦しいとこ見せちゃったね」

「ううん!全然俺は大丈夫!てか、咲愛ちゃんこそダイジョブ?」

「え?」

「て、震えてる」


全然意識していなかった手に意識を向けると、手がカタカタと震えていた。

これは、柊羽のせいね。

心の中で柊羽のせいにした瞬間、手が暖かさに包まれた。

それを意識した途端に、頬がカァァと熱くなった。

急に無言になった私を心配してか、彼方くんが顔をのぞきこもうとするが、それを阻止した。

あ!てか、


「彼方くん病み上がりでしょ?!」

「あ、うん、そうなんだけど」

「家帰らなきゃじゃない」


そう言った瞬間。
目の前がぐらつき、吐き気が襲う。


「ウッ」

「大丈夫?!」

「う、うん。大丈夫。まだ回復してないんだよねー」

「咲愛ちゃんの方が大変じゃん!」