日曜日とだけあって、牧場の駐車場はいっぱいだった。

子供連れのファミリー層がほとんどだったけど、ちらほら若いカップルが紛れていた。

私たちはどう見ても若いカップルには見えないけど、まぁ、落ち着いたカップルということで。

入場券を買って入るといきなり羊がお出迎えしてくれた。

「めぇ-」と大してかわいくもない鳴き声をあげながら付いてくる。

「何も持ってないって。」

思わずその羊から逃げるけど、その羊はやたらしつこく付いてくる。

「かなり好かれてるよね。」

逃げ惑う私を見ながらシュンキは笑った。

「ちょっと、笑ってないで何とかして下さい。」

そう言いながらシュンキの後ろに回った。

シュンキは笑いながら羊をとおせんぼして、羊の頭をよしよしと撫でている。

羊はようやく落ち着いたのか、あきらめたのか別の場所に移動していった。

なんていうか、穏やかだわ。シュンキって人はどこまでも。

落ち着く。

「久しぶりに笑ったような気がする。」

シュンキは前を向いて、静かに言った。

そうなんだ。

きっと前の彼女との別れが相当きつかったのかもしれないわね。

何も言わず、シュンキの横に並んでゆっくりと歩いた。

「あ、あそこにソフトクリーム売ってる。おいしそう。」

「ほんとだね。食べようか。」

「シュンキさんって甘いもの好き?」

「結構好きだよ。」

「お酒強い人って結構甘党だったりするんだけど、シュンキさんはどう?」

「確かに僕もお酒はもっぱら強いよ。甘いのも全然いけるね。」

お酒強い人好き。

だって、自分がかなり強いからね。弱い男だけはダメなの。