そして、ふいに話し始めたカイトの声に我に返る。

「よくよく考えたら俺らもも40歳目前だよな。」

「そうだね。まだ四年はあるけどさ」

そんなわかりきった事、なおかつ、あまりそこに触れて欲しくないことをわざわざ言うなんて本当にデリカシーないんだから。

「まぁ、ミナミは俺より先輩だから、先に40の壁を越えるんだけどさ。」

「カイトが早生まれなだけで、壁を越えるのは同じタイミングだっての。」

苦笑しながらカフェオレを飲んだ。

「ドラマにはまるミナミと、彼女と長続きしない俺、このままでいいと思う?」

は?

いきなり、なんていう質問。

深すぎるしざっくりしすぎてない?

「お前は結婚願望とかないわけ?」

ああ、そういう展開の話ね。

「もちろんしたいわよ。」

「できるの?」

「出来るも何も、今は相手がいないからね。誰かいい人が現れたら速攻結婚する。」

「ふぅん、ミナミはもう結婚願望ないのかと思ってたわ。」

「どうして?」

「ドラマに出て来る男に、夢中じゃんかよ。あんな夢物語にうつつ抜かすってことは、現実にもう嫌気が差して逃げてんのかなと思って。」

まぁ多かれ少なかれ、カイトの言うことはあってるんだけど。