私は憮然と答えた。

「話す気ない。」

「怒った?」

「何が言いたいわけ?どうせ私の楽しみはドラマで、ドラマばっかり見てるわよ。寂しさ紛らしてると思いたければ思えばいいわ。私は別に今寂しくもないし、不幸だなんて思ったこともないんだから。あんたこそ、何いつまでふらふらしてんのよ。彼女が何人もできてるくせに、ちっとも成就しないじゃない。カイトに何か問題でもあるんじゃないの?」

一気にまくしたてた。

珍しく声を荒げた私にカイトも驚いた様子で、掴んでいた手をそっと離した。

「ごめん。」

あっさりとしおらしく謝るもんだから、こっちの方がどういう顔していいかわかんないわよ。

「俺もさ、まさに今言われたことで悩んでるんだって。」

「彼女が何人も出来ても成就しないってとこ?」

「ああ。」

カイトはソファにぐでっともたれた。

ソファのきしむ音が耳につく。

このソファも、このうちに引っ越してきてからずっと使ってる。

安く買った割には、十分もってるよな。

ソファーの前に投げ出されたカイトの長い足を観賞しながら思った。