もともとフランス映画は難解なのに加えて、横のシュンキが気になってストーリーが入ってこない。

あれよあれよという間に話は進んでいき、訳のわからないまま「fin」と言う文字が画面の真ん中にドンと出た。

あちゃ-。

終わっちゃったよ。

これじゃ、映画の感想も言えないっての。

あっけなく終わってしまった映画に呆然としながら、会場が明るくなるまで座っていた。

シュンキの方を見ると、シュンキも呆然と正面を向いている。

私が見ているのに気付いて、こちらに顔を向けた。

そして、私を見て言った。

「訳わかりました?」

私は首を横に振った。

「そんな顔してましたよ。僕もです。全くわからなかった。」

そして、おかしそうに私を見て笑った。

よかった。

シュンキも訳わからなくて。

きっと集中して見てても小難しいストーリーだったのね。

ホッと安堵して前を向いて立ち上がった。

「想像以上に、僕緊張してるみたいです。」

座ったままのシュンキの方からつぶやくような声が聞こえた。

え?

見ると、優しい眼差しで私を見上げているシュンキと目が合った。

ドキン。

ど、どう返せばいいのかしら??

私だって、緊張してる。

想像したたよりずっと。

シュンキが素敵すぎて。

だけど、お調子者の普段の性格が頭をもたげた。

「そんな緊張しないで下さい。とって食べたりしないですから。」

おどけた顔で言うと、私は腕にかけていたバッグを肩にかけ直した。

そんな私を見るシュンキの目が心なしか寂しそうに見えた。

だめなんだよね。

いっつもこう。

ムードに流されない性格。これで何度新しい恋をダメにしてきたことか。