シュンキは笑顔で頷くと、席を離れて飲み物を買いに行った。

シュンキの通った後に、とても爽やかないい香りが残っていた。

久しぶりにキュンキュンしてる自分がいる。

こんなに素敵な場面を実体験していいの?

この数年、ドラマの中でしか体験したことのないドラマみたいなシチュエーション。

それは、シュンキがとっても素敵だからかもしれない。

カイトが同じことしたら、こんなにときめく?

ドラマみたい!だなんてキュンキュンするのかしら?

しないしない、絶対しないね。

奴は、私にそんなかっこいいこと絶対しないし。

きっと今頃ハルカにはかっこいい表の自分を見せつけていることだろう。

ハルカもカイトにキュンキュンしてるんだろうか。

その時、ふわっと爽やかな香りの風が私の鼻孔をかすめた。

シュンキだ。

慌てた様子で戻ってきた。

「ど、どうしたんですか?」

私も驚いて尋ねた。

「いや、財布忘れた。」

頭を掻きながら、恥ずかしそうに笑うシュンキに更に胸を射貫かれた。

こんなちょっとドジなところがまた素敵じゃないの!

「しかも、何飲むのかミナミさんに聞くのも忘れてて、何がいいですか?」

「あ、コーラで。」

顔が熱くなってきた。

冷たいコーラで体中を冷やしたい。

この火照りをなんとか納めなくちゃ、この一日私の体持たないよ-。

「僕もコーラ好きです。」

シュンキはそう言って微笑むと、また颯爽と席を離れて行ってしまった。

きゃー。

シュンキもコーラ好きだなんて。

どんなけ気が合うの?!

映画が始まっても、隣に座っているシュンキの息づかいが気になって全く集中できなかった。