見上げると、爽やかな笑顔でシュンキが立っていた。

とてもカイトと親友とは思えないきれいな立ち姿で。

眼鏡の奥の目はとてもきれいで、思わず吸い寄せられた。

「あ、どうも。今日はお誘いありがとうございます。」

恥ずかしくて、ペコリと頭を下げた。

「こちらこそ、急に電話なんかして驚かせたでしょう?」

「いえいえ。嬉しかったです。」

と、言ってしまって慌てて口を手で押さえた。

その様子を見たシュンキも、恥ずかしそうに笑った。

「でも、まさかこの映画を観たいって言ってくれるとは思わなくてびっくりしたよ。」

「そうですよね。かなりマニアな作品だし。私もこの映画を観たいなんて言われるなんてびっくりでした。」

「気が合うかもね。」

シュンキはニヤッと笑った。

あ、このニヤッとした感じ、奴と重なる。

おー、いやだいやだ。違う違う、絶対違うし。

心の中で何度も首を横に振った。

二人でチケットを買って映画館に入った。

前から来る女性達は、必ずといっていいほどシュンキに目を奪われている。

そりゃ、この美形だもんね。

私でも見るわ。

そんなシュンキと肩を並べて歩くなんて、なんて私は幸せものなのかしら!

まだ付き合ってもいないのに、変な優越感を感じていた。

座席をキープすると、シュンキは私を見下ろして言った。

「何か飲み物でも買ってきましょうか。」

「あ、私買ってきますよ。」

慌ててお財布を出す。

その途端、シュンキがくくくっと笑った。

「僕、ミナミさんの上司でも何でもないから。そんな気を遣わなくて大丈夫だよ。デートの時は男性に任せて、安心して寄っかかって下さい。」

寄っかかって下さい・・・だなんて!

そんな甲斐性のある男、今まで出会ったことがあっただろうか!

思わずうっとりとシュンキを見上げた。