それはそうなんだけど!

だけど、そんな知りもしない相手と二人きりだなんて、やっぱ会話がもたないし。

だからカイトに聞きたかったのよ!って心の中でカイトに怒鳴った。

「会話のヒントがほしいっていうか。だって、シュンキのこと全然知らないし。」

「ああ、そういうこと。」

「そういうこと。」

「シュンキは、そういうの慣れてるから全然心配ないよ。」

そういうの慣れてる?ってどういう意味?

少しひっかかる。

「シュンキに身を任せていれば、居心地よく過ごせると思うよ。心配すんなって。」

「そうは言うけど。」

「俺からもお前のことはよろしく言っておくしさ。」

「そう?変なこと言わないでよ。」

「言わないよ。」

やけに素直なカイトに、調子が狂う。

「わかった。夜中にほんとごめん。またね。」

「うん、おやすみ。」

「おやすみ。」

電話を切ろうとしたら、

「これ、二回目のおやすみだな。」

とカイトは少し笑った。

「そうだね。まるで仲良しみたいだね。」

「馬鹿言え。」

「ま、あり得ないけどね。」

「んじゃ、今度こそ寝るから起こさないでくれよな。」

「はいはい。ごめんねー。三度目のおやすみ。」

「ほい。」

そして、ようやく電話が切れた。

シュンキに任せとけばいいわけね。そんな頼りになるんだ。

ふふ、楽しみだわ。

そのまま布団に顔まで潜り込んだ。