無視、無視。

「誰、こいつ。あー、最近連続ドラマに出て一気に人気出た奴じゃんか。」

よくご存知なこと。


「どこかいいの?こいつの。」

・・・。


「それにしてもにやけた顔してんな、この男。」

・・・。


「うわ、軟弱そうな腕。こりゃ、2キロのダンベルでアウトだな。」

一時停止ボタンを押す。

「あのさ、邪魔するんなら、出てってくれる?私の週末の唯一の楽しみなんだからさ。」

平日オンタイムで見れないドラマを週末ゆっくり見るのが私の幸せなひとときだっつうのに。

奴は、どうしてこう人の休日を邪魔してくれるわけ?!


「もうちょっとしゃべんない?」

カイトは、急に真面目な顔で私に向き直った。

あら、珍しい。

いつもならすぐに引き下がって、とりあえず退散するのに。