「とりあえずさ、気になるんだったら当たって砕けろだよ。」

だからぁ、それができるなら苦労しないっての!

「砕けたくないもん。」

思わず、ふてくされて言った。

「んなもん、当たらないと砕けるかどうかもわからねぇだろうが。砕けた時は俺が慰めてやるって。」

「何、馬鹿いってんの。」

「まぁ、高くつくけどね。モテ男カイト様直々の慰め料だから。」

「安心して、あんたには慰めてもらわないから。」

思わず笑いながら言った。

「ようやく笑ったねぇ。ブスは笑わないと見てられないから、笑っとけ。」

「それ、セクハラ発言だよね。もうすぐ昇進しようかっていう人間がそんな発言許されると思ってんの?」

「そんなこと、お前にしか言わないし。」

こういう会話、きっとほっといたら朝まで続く。

「シュンキさんへの電話は考えとくわ。」

「善は急げだぞ。」

「はいはい。あんたの電話で、今回は珍しく元気になったわ。ありがとね。」

「どういたまして。」

「ふざけすぎだって。」

「ふざけてないさ。」

「もう、きりながないわ。明日は仕事だしもう寝る。また明日から仕事がんばろね。」

「おう。また土曜な。」

「それはないから。」

「おやすみ。」

妙に優しいおやすみに、不覚にもドキッとする。

「おやすみ。」

そして、電話を切った。