ハルカは次の日曜、カイトとデートするらしい。

えらく興奮して、私に報告してきた。

そりゃそうだよね。

憧れのカイトと休日デートなんて。

私には理解できないけど、若い女性達には結構人気のカイトを独り占めできる機会。

小鼻も膨らむって。


これで、ハルカとカイトがうまく行ったら、私はひとりぽっちだなぁ。

急に不安が襲ってきた。

ドラマを見ながら、こないだカイトから教えてもらったシュンキの電話番号のメモを眺める。

私から連絡した方がいい?

向こうから連絡もないのに。

でも、今や繋がってる男性はシュンキしかいないんだよね。

シュンキを逃すと、次にいい男性が出てくるのはいつになるかわからない。

少なくとも私の周りにはめぼしい男性はいない。

どうする?

一か八か、当たって砕けろ精神で乗り込んでみる?

いや・・・

当たって砕けたら、もう二度と復活できないかもしれない。

確かな手応えがないことには、電話なんてできるはずもない。

珍しく見る気がしなくてドラマを停止し、長いため息をついて、窓の外に見える月を眺めた。

その時、電話が鳴る。

現実に引き戻されて、あわてて電話に出た。

「おっす。」

その声は、カイトだった。

「何?」

「お前、昨日朝からどっか行ってた?」

「ああ、うん。昔の友達と映画見てきた。あんたが来たらややこしいから早めに家を出たの。」

「あ、そ。」

「で?」

「聞いた?」

「何を?」

「ほら、ハルカちゃん。」

「あ~、さっきハルカから電話かかってきたよ。来週デートするらしいじゃん。よかったね。」

「俺って、ほんともてすぎて嫌になるよなぁ。次から次へと、ほんと大変ったらないよ。」

「どうせ今鼻の下伸ばしてしゃべってんでしょ。」

「わかる?」

「わかるわよ。」

ったく。

今日は来ないと思ったら、こんなくだらない電話をかけてきやがった。