「疑いだしたらきりがないよね。信じてあげるのも一つの手かもよ。」

そう言いながら、カズエの様子を見守った。

カズエも少し気持ちが落ち着いてきたように見えた。

けど・・・

「今から電話して確かめる。」

へ?!

カズエはバッグから自分のスマホを出して、ユウヤに電話をかけ始めた。

「ちょっと、今?カズエの気持ちはもう落ち着いてるわけ?」

「そんなのどうでもいい。とりあえず、ミナミに立ち会ってもらいたいの!」

「なに、それー。」

久しぶりにあわてる。

電話でどう立ち会えっていうのよ。訳わかんないんですけど。

「もしもし?」

どうやら、ユウヤとつながってしまったようだ。

「ミナミがね、あなたに聞きたいことがあるって。今かわるね。」

ちょっ、ちょっと、何言ってんの?

首をぶんぶん横に振ってる私の手をとって、カズエは自分のスマホを握らせた。

「何しゃべればいいのよぉ。」

口パクしながら、カズエに握らされたスマホを耳に当てる。

「あ、どうも。久しぶり、私だけど。」

「ミナミ?随分ご無沙汰だね。元気?」

昔から変わらない高音の明るい声が響く。

「どうしたの?聞きたいことって。」

まさか、「浮気してる?」なんて言われるとは予想もしないようなノー天気な声。

本当に言うの?

口パクでカズエに困った顔をした。

カズエは大きく頷く。

まじで?!

もうどうなっても知らないよー。