そして、手にとったチーズを無造作に裂いた。

「例えば、どういうタイプが好き?」

ハルカは、「え~。」と言いながら、チーズをゆっくりと裂いていく。

「昔からタイプってないんだなぁ。好きになったらそれがタイプ。」

「そりゃそうだけどさ。例えば、うちの会社だったら、誰がかっこいいと思う?」

「・・・立花さん。」

「立花さん?・・・ってまさか立花カイトのこと?」

思わず、声がうわずった。

「うん。かっこいいじゃん。会社でも人気あるし。」

「へー。そうなんだ。」

なんと言っていいかわからない。

あんなやつのどこがいいんだか。

でも、人それぞれ好みってのがあるわけだしそれを否定する立場でもない。

「何?カイトがかっこいいから好きなの?」

「とりあえず、見た目はオッケーでしょ。中身はミナミ先輩からちょこちょこ聞く程度であんまり知らないけどね。」

「最悪なことしか聞かせてないと思うけど。」

「なんだか、いつもミナミ先輩がうらやましいなぁって思ってたの。ああいう豪快でズカズカ乗り込んでくるところも男っぽくて魅力的じゃない?」

「それはないわ。男っぽいなんて思ったこともない単なる厚かましい迷惑おやじだよ。」

「おやじなんて言わないでよ。そんな風貌じゃないって。20代の若い女子達の中でも憧れだよー。」

「女好きだよ?めちゃくちゃ。」

ため息混じりにワインを飲む。

「だけど、仕事めちゃくちゃできるじゃん。将来部長候補でしょ?あの若さで。」