・・・今里 シュンキ。

見た目だけじゃなく、名前も洗練された感じ。

浅黒くて野性的なカイトとはまるで対照的な繊細で柔和な顔をしてる。

細い手の指は、研究職らしくいかにも器用そうで。

気づいたらうっとりとシュンキを眺めていた。

「おい!」

カイトのがなり声が部屋に響いた。

「お前さ、相手に自己紹介させといて、自分は何も言わない気かよ。失礼にもほどがあるって。」

腹の立つ言い方だけど、確かに。

「あ、すみません。私はカイトとは会社の同期で宮永ミナミって言います。よろしくお願いします。」

慌ててペコリと頭を下げた。

「僕が想像してた通りの感じだ。」

顔を上げると、シュンキはまっすぐに私を見つめて微笑んでいた。

うわ。

ドキドキするんですけどー。

「想像してたってどんな?」

シュンキの背後でコーヒーを飲みながらカイトが尋ねた。

「ほら、いつもお前から聞いてたミナミさんの話からさ。本人を前に言ってもいいのかな。」

シュンキは後ろにいるカイトの方へ首を向けた。

「それは言わない方がいいんじゃない。」

「そっか。じゃやめとく。」

何それ?

二人で完結しちゃってる会話。

しかもその内容は私のことだってのに、全く私にはわからない。

すごく気持ち悪いんですけどー!

「教えてよ。何言ったの?」

シュンキは困った顔でカイトと私の顔を交互に見て言った。

「悪いことじゃないから、別に教えてあげてもいいんじゃない?」

「ちっ。」

カイトは舌打ちすると再び新聞を広げる。

「こいつ、大口叩いてる割には、結構シャイだからね。」

シャイ?

カイトが?!

そんな言葉無縁な人間だとばかり思ってたけど?