「海外赴任?今日は俺の上司が海外出張でその見送り頼まれて足になっただけだよ。送り届けたら俺の仕事は終わり。ただそれだけですけど。」

「海外赴任するんじゃないの?」

「希望を出したって話はミナミにもしたと思うけど、んなもんすぐにそんな異動決まるわけないじゃんか。」

「え?そうだったの?」

確かに、海外赴任希望出してから異動まで早すぎるなぁとは思っていたけど!

「まだ行かないよ。まぁ、いつかは行くかもしれないけど。」

「じゃ、どうして?シュンキからカイトが今日海外に立つって聞いてたのよ。」

「はぁ?あいつ何嘘ぶちこんでんの?んなこと言ってないし。上司の見送りに行かなきゃなんないから面倒臭いって話はしたけど、それだけだよ。」

何それー!!!?

私は開いた口が塞がらなかった。

ひょっとして、シュンキがわざと私についた嘘?

ここに来させるために??

頭の中がパニックだ。

私は誰?ここはどこ?の世界。

「マシュマロマン改めオバQちゃん、大丈夫?」

カイトが私のおでこに手を当てた。

「何、ふざけたこといってんの!」

と言い終わらないうちに、カイトが私を抱きしめた。

そして、耳元でささやくように言った。

「ひょっとして、俺が海外立つと思って見送りに来てくれた?」

カイトの唇が私の耳に触れる度に体中に電気が走るようだった。

胸のドキドキが激しくなる。

「もし、そうなら、めちゃ嬉しいんですけど。」

カイトは更に強く抱きしめた。

「馬鹿言わないで」と言おうとして辞めた。

だって、見送りに来たのは本当だから。

あとは、カイトに自分の気持ちを伝えるだけ。