目を開けたら、そこは飛行場だった。

さっき見たままの世界。

長いため息をついた。

「こんなとこで何やってんの?」

その声はふいに頭の上から降ってきた。

見上げると・・・

「嘘でしょ?」

思わず声が漏れた。

「何?一人旅でもすんの?」

「どうしてあんたがここにいるの?」

目の前にいるのはまさしくさっきスーツケースを転がしていたはずのカイトだった。

一瞬、夢なのか現実なのかわからなくなる。

大きく目を見開いてカイトを凝視した。

「そんな恐い顔して見るなよ。なんか顔についてる?」

カイトは私の顔をのぞき込んだ。

そしてプッと吹き出す。

「お前、今日唇分厚くない?たらこになってんぞ。」

あ。

やっぱり指摘された。これは夢じゃない。本物のカイトだ。

「うるさい。」

カイトから顔を背けた。

なにこれ?急に登場しないでよ!心の準備ってものがあるんだから!

でも、どうしてここに??

「カイト、こんなところにいていいの?」

時計を見たら、14時過ぎだった。

そろそろ搭乗手続きに向かわないといけないんじゃない?

「こんなところにいていいの?って俺の仕事はもう終わったから、ちょっと寄り道ついでに展望台寄っただけですけど。」

カイトはどうしてそんなこと聞くのかっていう顔をして言った。

「だって、今日はカイト海外赴任先に飛ぶんじゃないの?」

「は?」

「海外赴任決まって、今日の15時20分発のフライトなんでしょ?」

カイトは無言でしばらくじーっと私の顔を見ていた。