カイトと上司らしき人は談笑しながら、レストラン街へと向かって行った。

私は思わず、柱の陰にかくれてそんな二人を見つめていた。

どうしよう~?

せっかく、意を決してここまで来たのに?!

そうよね、

初の海外赴任。一人で行くわけないか。

とりあえず、付き添いで上司が行くなんてことあり得るはずだった。

私としたことが、とんだウッカリ!

そんなこと言ってる場合じゃない。

さて、これからどうする?

とりあえず、二人の後を陰からこそこそついて行った。

周りから見たら絶対怪しいよね。

30半ばのおばちゃんが、柱の陰から陰へと渡り歩いてる絵なんて。

もう!どうしてこうなるの?!

カイト達は、レストラン街の一番高級そうな中華料理屋に入っていった。

まさか中まで入れるわけもなく。

しばし呆然とそこに立ちつくした。

出てくるまでここで待つ?

いつ出てくるかもわからない。

なにこれ?

こんなことになろうとは想像もしていなかった。

やっぱりドラマみたいにはうまくいかないわけで。

近くにあったベンチにへたり込むように座った。

これは、いわゆる縁がないんだぞーって神様が教えてくれてるの?

ナオトが夢の中で言ってたように、早くしないと行っちゃうぞーってこういうことだったの?

やっぱり昨晩電話入れればよかった。

後悔先に立たず・・・。

あまりにショックで思考回路ゼロだ。

あとは、3時20分のフライトまで私はどうするかだ。