スマホがブーブー言ってる。

涙を手の甲でぬぐって、スマホを片手にリビングのソファーに座った。

シュンキからのメールだった。

『言い忘れてた。カイト来月の20日、14時35分の便で日本を発つって言ってたよ。』

うそ。

そんなすぐに行っちゃうの?

海外赴任、もう決まっちゃったの?

バッグからスケジュール帳を引っ張り出した。

その日は何も予定は入っていなかった。

入ってないからどうなのよ。

仕事はいつもどうりあるわよ。平日だし。

あ、そうだ、会社辞めるんだった。

いつ辞めよう。

さすがに来月はきついよね。

とりあえず辞める日を上司に相談しなくちゃ。

こんな時に何普通に考えてるんだろ。

っていうか、私が辞めるってカイトは知らないんだ。

それくらいは奴に教えてやってもいいかもしれないよね。

カイトにメールを打ち始める。

『カイト、元気?再来週日本を発つんだって?まじで行くの?実は私、仕事辞めようと思ってるんだ。暇だし見送りに行ってあげようか?』

なんだこれ。

変なメール。文章力ゼロ。

妙に動揺していた。

カイトにメール打つだけなのに。

こんな変なメール打ったら、奴に何言われるかわからない。

やめとこ。

メールを保存ボックスに入れた。