『カイトとはあれからきちんと話した?』

「何を?」

『僕の方はこないだカイトに全て話したよ。君と別れたことも伝えた。』

カイトは、自分の気持ちはシュンキに伝えたんだろうか。

奴のことだから、きっと言ってないに違いない。

『カイト、海外赴任決まりそうなんだって?』

「そうみたいね。」

『ミナミさんはいいの?行っちゃうよ、あいつ。』

そんなこと、知らないわ。

カイトは好きにすればいい。

好きにした方がいいのよ。

『僕がこんなこと言うのもなんだけど、ミナミさんには幸せになってほしいんだ。僕が失敗した分。あと、カイトにも幸せになってもらいたい。』

「心配しなくたって私は幸せになるわ。・・・多分ね。」

『多分じゃなくて絶対、じゃなきゃ困る。僕はカイトと君のために身を引いたんだから。』

「なんだか押しつけがましい言い方するのね。シュンキさんらしくもない。」

『僕らしくない?僕らしいって、ミナミさんはどんな風に思ってたの?僕結構いつまでもうじうじ引きずっちゃうタイプなんだよ。だから、僕が次のステップに行くためにも二人は幸せになってもらわなきゃなんないんだ。』

「それも勝手な言い分ね。」

私は笑った。

「だけどどうして、そんなにカイトと私をくっつけたがるのかわからないわ。」

『誰が見たってお似合いだからだよ。』

「お似合い?」

そういえば、さっきハルカにもそんな風なこと言われたっけ。

お似合いって一体なんなの?

私の脳の中に、そういう一言一言がしみこんでいく。

きっと洗脳ってこういうのの積み重ねなんだろな。

夜の空を眺めながら、カイトの顔が浮かんだ。