『ハルカちゃんとカイトの奴も繋がらなかったみたいだね。』

「・・・そうみたいね。」

『今、少ししゃべってていいのかな?』

「駅から家に向かって歩いてるだけだから大丈夫よ。」

『そっか。それじゃ少しだけ。』

「うん。」

そう言いながら、まっすぐ家に帰らず近所の公園に足を向けた。

なんとなく家の中より、夜風に当たって話がしたい気分だったから。

公園は住宅街に面していて、見晴らしもよく女一人でも危ない印象はなかった。

数組の若いカップルがベンチを占領している。

ベンチから少し離れた場所にあるブランコに座った。

『ミナミさんは、あれからどう?僕も色々好き勝手一歩的にしゃべっちゃって、結局全然ミナミさんの話聞いてあげられなかったなって反省してたんだ。』

「今更だね。」

私は笑った。

『ほんとごめん。』

「九州へはいつ発つの?」

『しばらくは、九州とこちらを行ったり来たりして、最終的に向こうに行くのは一ヶ月ほど先かな。』

「それまでに例の元カノさんともけじめつけなくちゃね。」

『そうだね。っていうか、元カノとのことがあって僕が転勤になったってこともあるんだ。』

「え?ひょっとして社内でばれちゃったとか?」

『まさに、そう。』

シュンキはそう言いながら笑った。

『笑える話ではないんだけどね。僕が独身でまだよかったよ。元カノも北海道に転勤になったよ。』

「そう。それは元カノさんも大変ね。」

まぁ、元カノさんは自業自得だけど、と言い掛けてやめた。

そして、シュンキと元カノの話をこんなにも冷静に聞いてられる自分が不思議だった。

自分の中で何かが大きく変化していってるのを感じる。