ハルカと別れて家路に向かいながら、辞めるって言っちゃったことに今更ながら少し不安になる。

だって咄嗟にでてきた言葉だったから。

特に色々悩んで熟考した上で出した結論でもない。

ただ、あの時はそれがベストだと思っちゃったのよねぇ。

とりあえず、辞めたらどうするかだわ。

こういうとき、ただのOLで過ごしてきたら、芸がないのよね。

手に職って大事だわぁ。

通信教育でも始めようかしら。

なんて楽観的なのかと、そんな自分自身に少し笑える。

こないだの私と比べたら随分復活したような気がした。

あれから、カイトとは会社でも会わなかった。

電話もなく、話もしていない。

海外赴任の話、進んでるのかな。

本当に行っちゃうんだろうか。

その時、スマホが震えた。

バッグから取り出すとシュンキからの電話だった。

シュンキもあれ以来連絡していなかったので久しぶりだった。

「もしもしシュンキさん?久しぶり。」

『お疲れさま。久しぶりだね。まだ外かな?仕事帰り?』

「うん。ハルカと久しぶりに飲んでたの。」

『あ、ハルカちゃん?元気にしてる?』

「まぁ、色々とあったから。」

『ああ、カイトから聞いた。』

カイトと話したんだ。

カイト、元気にしてるのかな。

でも、なぜかシュンキには聞くことができなかった。