「立花さんと一緒に過ごす時間が増えるたびに、不安が増殖していったって前も話したよね。」

「うん。」

「立花さん、いつもミナミ先輩の話ばかりしてたの。」

「・・・ネタがそれくらいしかなかったんじゃない?」

自分の動揺を悟られまいと、つまみにお箸を運んだ。

「違う。そんなんじゃないの。最初から感じてたけど、やっぱり立花さんはミナミ先輩がいいのよ。私と過ごすより、ミナミ先輩と過ごしてるのが自然なの。ミナミ先輩もそうなんでしょ?」

「何言ってんのよ。」

といいながら、先日のカイトの話を思い出す。

胸の奥が熱くなった。

「辛かったわ。そんな二人を見てるの。」

顔を上げてハルカを見た。

ハルカの目には今にもこぼれそうなほどの涙がたまっていた。

「だからね、立花さんに嘘ついたの。ミナミ先輩とシュンキさん結婚するみたいだって。」

「ハルカ・・・?」

やっぱり、やっぱりそうだったのね。

「あと、同期達にも、そんな話回しちゃったの。まだミナミ先輩の気持ちが揺れてるの知ってて。」

ハルカの目から大粒の涙が溢れでた。

「本当にごめんなさい!」

そう言って、ハルカはテーブルに突っ伏して泣いた。

ハルカも辛かったんだ。

以前なら、「絶対そんなことないって!」って笑って否定して言えたのに、今は言えない。

カイトの気持ちを知ってしまった今。

そして、シュンキと別れてしまった今。