居酒屋に入ると、カウンター越しにハルカの姿を確認した。

足早にハルカの方へ向かう。

「お待たせしちゃってごめん。」

そう言いながら、ハルカの正面に腰掛けた。

「今日は忙しかったのに呼び出してごめんね。」

ハルカの表情が心なしか緊張していた。

いつもと勝手の違う私に動揺してるのかもしれない。

店員さんに生中を頼んだ。

既にテーブルに置かれたつまみに手を伸ばしながら、

「大事な話って?」と尋ねる。

「うん。一つは、松永さんのこと。」

「ああ、例の松永さん?結局二人できちんと話できたの?」

「できたよ。正面むいて話したら、とても頼りがいのある素敵な人だった。」

「そうなんだ。」

敢えて、カイトよりも?って言わなかった。

「実は、松永さんと話をする前に立花さんとも話したの。」

「そうなんだ。」

そこへ生中が運ばれてきた。

とりあえず、軽く乾杯してそれぞれ生中を飲む。

「カイトは、ハルカに何の話したの?」

カイトと声に出すと、急に胸がきゅうっと締め付けられた。

今までこんなことなかったのに。

「きちんと、これ以上のお付き合いはできないって言われたわ。」

ジョッキに口を付けながら、目を丸くしてハルカを見た。

それは、また唐突な。

「ふふ、完敗。まぁ最初からダメだって思ってたんだけどね。」

「ダメなことはなかったと思うよ。」

「だけど、結果としてはダメだったんだから、ダメなのよ。」

ハルカは横の髪を耳にかけた。